あの日のことばを探し続ける

あの日こころを動かした、拾ったきりの思い出、忘れられない誰かのことば、感じたままに、綴ります。

アイドルが良曲を歌うと、炎上する (2/2)

「パート割」というものが存在するらしい。
歌の上手い人やセンターの人ほどたくさん歌い、モー娘の道重さゆみさんレベルになると
「あ・い・し・て・る」の「る (はぁと)」しか声を出せないという、過酷な競争社会。
グループとならば当然、出番の多さに関わってくるし、歌もダンスもイマイチであればステージに立てる回数も減ってくる。


そして拍車をかけるように、オタクたちは、自分の推しが歌う曲だけを推し通す。

AKB48リクエストアワーだって、歌の良し悪しというくだらないものはどうでもいい。
「自分の推しが出ているかどうか」がオタクにとっての判断基準。
「自分の推しをステージに立たせるため」にその曲に票を投じる。

いい曲だから1位になったんじゃなくて、
グループで一番オタクがついている前田敦子がセンターで歌っているから、その曲が多数決で1位になるという世の常。

歌やダンスでファンを引き付けることのできない人は、握手会の「神対応」やユニークな個性と特技でバラエティ勝負する。


だから秋元康は、ここに目を付けたのか。

アイドルに良い曲を歌わせる。
「この曲純粋にいいね」という人と「XXちゃんかわいい」という人と「なんでXXちゃんがこのパート歌わないんだ」という人が現れる。
そして当然、口論になる。
決してお互いが分かり合えることのない、平行線の口論。

「なぜこの曲の良さを純粋に語れずに、推しのかわいさというどうでもいい価値観でしか物事を見ることができないのか」
vs
「曲もいいけど、それより歌を歌っているXXちゃんがかわいいのは正義であり、それが全て」


時間無制限。不毛な戦いが、今はじまる。
そしてこのくだらない戦いを動物園のごとく面白がって、また人が群がる。
炎上商法。


とはいえ、オタクだって心をもった人間。僕らと一緒だ。
毛嫌いしている一般人さまもまた、頭おかしい。

「どんな場所に行くかより、誰と行くかのほうが大切」という一般人さまと、
「どんな歌を歌っているかより、誰が歌っているかが正義」というオタクたち。

なんだかんだ、みんな一緒でみんないい、のかもしれない。


ただ、なぜAKBや乃木坂がここまで人気が出てモーニング娘。が落ちぶれたのかは、
圧倒的に曲と歌詞の質の差であると、信じて止まない筆者である。

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地下アイドルなんて、スタートアップと一緒だ。
何もない所から事業を続け、顧客を獲得し、それでもほとんどが潰れていくスタートアップ。
何もない所から活動を続け、ファンを獲得し、やがてほんの一握りだけ売れていくアイドル。

だったら、地下アイドルに投資するシード投資家が居たっていい。

地下アイドルをスタートアップとして株式調達し、晴れて売れたらストックオプションで儲けるという地下アイドルベンチャーキャピタルみたいなマーケット、仮想通貨でも使って確立できるんだろうか。

もしやってみたいという人、たぶん僕と同じくらい頭おかしいので一緒にこれで起業しよう。


え、どうして仮想通貨なのかって?
それはね。アイドルの世界というのは疑似恋愛。夢の世界。空想の世界で楽しむ仮想の物語だからです。

さぁ、そろそろ現実に戻ろうか。