もう二度と、転職なんてしない (1/2)
最近、転職がブームらしい。
仕事がロボットに奪われるという叫びはどこへやら。
キャリアアップという言葉が流行語大賞並みのか弱い勢いで浸透し、有効求人倍率は右肩上がりで伸び続け、新卒だろうと転職だろうと、日本全国に無数に蔓延エージェントは Botのごとく”売り手市場です” と言い続ける。
その割に出てくる宣伝は、「条件は、今よりいい会社。以上」 という究極の思考放棄。
こんなことを言っている頭の悪い人がまともな仕事をできるわけもない。
挙句の果てには、「一つの会社で一生働く時代は終わった」という、時代のせいにするやつ。
最近では巷のフリーランサーと個人事業主と称する人々が「会社で働く時代は終わった」とか言い出している。
そのうち「働く時代は終わった」とか言い出すんじゃないだろうか。
いや、きっとそうなる。
かく言う僕も、最近転職をした身だ。
前に勤めていた会社は事実上の定時が22時、持ち帰り残業当たり前、上司が発狂して電卓が宙を舞う、という、まぁそれなりにブラック企業だった (というか、上司の人格がやばかった) ので、一身上の都合により転職を切り出した。
さて、転職したことで大阪から東京への引っ越しが完了し、ブラック企業の束縛からも解放され、いよいよ僕は自由に人生を謳歌できる。
世界が注目する近代都市、Tokyo。
どこに住んで、どの街に飲みにでかけよう。
やる気を持って仕事をして、成果を上げてたくさんボーナスをもらってやる。
彼女だってつくらなきゃいけない。
春の新生活をノスタルジックに彩るSUUMOのCMとさわやかなで切ない桜ソングたちを背に、大きな希望と野心を持って、僕は東京に戻ってきた。
さぁ、まずは何から手を付けようか。どこに出かけようか。
新しい場所に飛び込むときは夢ばかり見ようとするものだ。まったく。