あの日のことばを探し続ける

あの日こころを動かした、拾ったきりの思い出、忘れられない誰かのことば、感じたままに、綴ります。

会社が嫌なら、辞めればいい (1/2)

あの日の僕は、会社を辞めることが人生の一大事だと思っていた。
もしかしたら残業続きの毎日に洗脳されていただけか、それとも居場所を失う恐怖心か。

この転職が、僕の未来を決めるものだと信じていた。いや、信じようとしていた。


サラリーマンのシステムって、本当に素晴らしい。

会社に行けば自動的に仕事がそこにあって。
会社に行けば自動的にかかわる人がそこにいて。
会社に行けば自動的にお金が毎月入ってくる。

決められた時間に会社に行って。
与えられた業務、それもそこまで頭を使わなくていい作業をただこなして。
毎日適当に残業して。

ただ、何も考えずに会社に行き、そこにある業務だけ処理すればいい。
それさえすれば、生活に困らないだけのお金が手に入る。
平社員でいる限り、たとえ事業が失敗したとしても、責任なんて取る必要もない。
せいぜいボーナスの数百万円がなくなる程度のこと。
特に、生活に大きな支障は出ない。


僕は5年ほどサラリーマンを続けてきた。

それでも、時には上司に理不尽に怒られたり、意味の無い会議に出席させられたり、
客からの頭おかしい要求に振り回されたり。
仕事が好きかと言われると、そんな仕事は嫌いだった。

でも、仕事が嫌なら、会社の人間関係が嫌なら、辞めればいい。
辞めて別の企業に転職でもすればいい。
会社なんて無数にあるんだから、今やいくらでも転職できる。


どうして、僕はすぐにそれが出来ないのか。
どうして、僕は明日すぐに会社を辞めることができないのか。

来る日も来る日も残業しながら、ずっとそれだけを考えた。