桜に背を向けたあと
4月。
入学とか入社とか、それぞれがおめでとうを受け止める季節。
気持ちも場所も新しく始められる時間なんて、めったに巡り会えません。
どうか、丁寧に過ごしてください。
きっとこれから、いろんな不安といろんな笑顔に包まれて、時間を積み重ねていくことでしょう。
幼いころに忘れてきたはずの涙を、思い出す事だってあるかもしれない。
嫌になったら過去を振り返ってもいいけれど、思い出はいつも味方なわけじゃない。
裏切らないけれど、今の自分をじっと遠い目で見てくることもある。
何を信じればいいのなんて聞くけれど、信じるってのはいつだって自分勝手。
信じることは難しいって誰かが言っていたけれど、後悔ってのはいつだって人生の栞。
好きなように、好きなものを信じればいい。
傷つくのがいやなら、半信半疑であればいい。
それも嫌だなんて言ったら、わがままかな。
あれだけ時間をかけて、
それと引き換えに別の時間を犠牲にして、
そうしてつづったことばだって、笑われて捨てられたこともある。
だからもう、思う存分に傷ついてやる。
そんなこと言えたなら、どれだけ楽なものか。
結局みんな、傷つくことから逃げている。
まるで、嫌われないうちに散ってしまう桜のように。
僕らだって、桜のように散ってしまえば、楽なのかもしれない。
積み重ねた時間が長いだけ、後悔も涙も増えていく。
でも、それがまた好きだったりする。
変なの。
4月。
受け止めたおめでとうと、贈り届けたさよならを言葉にこめて、
未来の自分に手紙を書いてあげてください。
きっとそれが、桜に背を向けたあなたの、目印になる。