想い出のアルバムが流れるとき
思えばずっと、好きじゃない時間を過ごしてきた。
高校で入った部活も、大学で少しは慎重に選んだはずのサークルも、受験のために通った予備校だって、
一度だって"やりたい"なんて思ったことはなかった。
本当に欲しいものを追いかけて、
そのために、いくつもの大切なものを知らないうちに捨ててきて。
でも、届かなくて。手に入らなくて。
幼かった僕はいつしか、目の前の壁を乗り切ることに投げやりになった。
そうして過ごした場所。一緒にいた人たちなんて、
ただ生きていくための、手段でしかなかったのかもしれない。
みんな、何してるのかな。なんて、たまに思う事もある。
でも、もうわからない。
あの場所にもう一度行ってみようなんて、もう思わない。
あの日を思い出してまた少し切なくなんてなるけれど、戻りたいなんて、絶対に思わない。
好きな事を全力でやるってことが、どんなに難しくて、どんなに遠い夢だったことか。
わかったのは、今更なのか。それともまだ、本当はわかっていないのか。
でも、今は少しだけ見つかった。好きだと言える時間が、見つかった。
だから、素直に笑える時間もほんの少しだけ増えたんだ。
もしこれが夢だったなら、それが覚めた後で、全部まとめて笑い飛ばしてみせればいい。
ほんの少し前の、遠くを見てた自分に戻るだけなんだから。
そう思って、20年間の想い出のアルバムが再生される。
日曜日の夜は、少しだけいじわるだ。